机上の空論

 雨那・アドルフ　10月3日　消滅

そのアナウンスを聞いてどれくらいの時間が経っただろう

「先輩」

声のした方へゆっくりと顔を向ければ

「我妻に黒紅か、何の用だ？」

後輩でもあり部下でもある我妻と黒紅が二人で心配そうな顔で俺を見ていた。

「先輩、灰」

落ちそうです。そう付け足されて
今、始めて手元にあるタバコの火が吸い口ギリギリまで来ていて
そして灰が落ちそうな事に気がつき灰皿にタバコを押し付け火を消す。
そこまで吸った記憶は無い筈なのに、タバコの箱はすっかり軽くなっていた。

「大丈夫ですか…？」
「何の事だ？」

分かりきっている。
同僚であり、親友でもあった雨那のことだ。
分かっている。

「まったく、迷惑な話だ。
　俺がサボってた分、全部あいつがやってくれてたのに、
　あいつが消えた事により、俺はサボりながらも仕事はきちっと全部こなすスーパーマンに大変身だよ」

俺の机の横にはあいつの席があった。
今は誰にも使われていないただの空席。周りからは俺の物置認識

何も言わない二人から目を逸らし、空になったタバコを捨て歩き出す。

「俺、今日帰るわ、後よろしく」

呼び止める声が聞こえた気がしたが、聞こえないふりをした。
悪いな、同じように辛い筈なのに、俺だけ被害者ぶって悪いな。
だが、今日だけは頼む…すごく、眠たいんだ。

―んじゃ、ボクらはまだまだデートを楽しみますからー。
お仕事頑張ってね！―

あの時、俺は何ができたというのだろうか？
適当に立ち寄ったコンビニでビール缶を一本買った。
開ければﾌﾟｼｭッと気持ちのいい音が聞こえて
それを一気に仰いだ。
ただ、苦いだけのそれは喉を通過しただけで
少し肌寒いと感じていた体温をより寒くさせた。

「燕さん…」

肌寒い中、目を開ければ電気の灯りが眩しくて
眩しさに目を細める。
身体は横たわっていて、弾力はあるが堅い感触からソファの上で寝ていたのだと気がつく
いつアパートに着いたのか
いつ部屋の鍵を開けたのか
いつから寝ていたのか　そんなこと分からなかったしどうでもよかった。
ただ、横には我妻や黒紅みたいに心配そう…というよりも泣きそうな顔のほとりがいた。
俺は置きあがることもなく、ただ光に慣れた目を隠すように片腕で顔を覆う

「握って、くれないか？」

そう言って空いた手を出せば、ほとりがその手を握った。
その手は暖かくて、心地よかった。

「いつも、そうなんだ。」

―家族はずっと一緒だ―

「約束をすれば、いつも俺が見ていないところでいなくなっちまう」

―あなたが死んだ時は私がちゃんと埋葬してあげますよ―

「結局、俺は何一つ守れなかったし、ついには死ぬ事もできやしない」

―ボクも燕の事頼ってるから、いざという時はよろしくね―

「俺は、一体何ができるんだろうな…」

家族一人すら守れなくて、死んだあとを頼んだ奴の苦悩にも気づけなくて
終いには親友の最期は違和感が残ったが結局何もしてやれなかった。

「うちは…燕さんとずっと一緒にいたい…」

腕を退かし、顔をほとりの方へ向けると
二つの目からはポロポロと涙が零れていた。

「馬鹿、だな」

握られていない方の手でその涙を拭う
「っていうか何で泣くんだよ」と聞くと
「燕さんの所為だし」と言われたが、「知るか」と答えておいた。

「うちは、燕さんとずっと一緒にいたい。
　だから、死なないでよ…っ」

死ぬ。なんて簡単だった。
だが、俺が死ぬべき場所はここじゃない。本当の家族のいるところだと決めていた。
だから死ねなかった。
そして死んだあとちゃんと本当の家族の所へ埋葬してくれる人が消えて死ね無くなって…
それで、今は…

「俺は、約束はできない。だが…」

「お前の事を護って生きたい」

それが、俺の新しい願い。

このゲームを無かった事にする？そんなことをしたら消滅を選んだ雨那に怒られちまう
だから、俺は、ゲームを無かった事にはしない。
ただ、目の前の小さなこいつを今度こそ護りたい

そして一緒に生きて行きたい。

初めて、そう思った。

ほとりさん（＠えつさん）
雨那さん（＠奏出さん）
我妻さん（＠イトマボクトさん）
瑠璃さん（＠雀蜂さん）お借りしました。

※終了したねじまき企画様の終了後の妄想SSになります。
奏出さん宅のゼロットさんが好き過ぎる結果です。
白ゼロどころかレーゼロ臭いです。趣味ですｽｲﾏｾﾝ。
ゼロットさん大好きです（大事なことなのでｒｙ
シリアスです。
超自己満足です。
何やら爆弾発言もあるけれど超自己満足です。
それでも良いかた、理解ある方、続きからどうぞ

〔つづきはこちら〕

白黒学園都市企画様　
9月イベント　サイＳＳになります。

水子さん（蘭汰さん）　リオさん（イロさん）　
アスールさん（ぺきこさん）　　エメラルドさん（李空さん）　お借りしました



むっちゃ長いです＾ｑ＾

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さよならバイバイまたいつか　に参加中　灰谷十五　SS

時間軸：5月3日　結那ちゃん（イトマボクトさん宅）が消滅した時

〔チカラとチカイ〕

参加している飛行機企画様のＣＰのＳＳです＞＜
自己満足万歳いやっほいうと言っておく←

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