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机上の空論

ポケ擬人と日常つらつら語るブログ 狐笛

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第3層にて…【psm サイSS】


白黒学園都市企画様 
9月イベント サイSSになります。

水子さん(蘭汰さん) リオさん(イロさん) 
アスールさん(ぺきこさん)  エメラルドさん(李空さん) お借りしました



むっちゃ長いです^q^









ずっと昔、この本を拾った。
本の表紙の裏に4つの言葉で何か文字が書かれていた。
そのうちの一文を私は運よくも読むことができた。

もしも、この本を私以外の誰かが拾ったのならば
白紙ならば私の代わりに物語を書いてください。
空っぽならば私の代わりに物語を集めてください。
この本は紡ぎ、紡がれ、受け継がれるものです。

そのあと、ほかの文も翻訳したが、同じ内容だった。
私がこの本を拾ったとき、それは数ページ文字が書かれているだけで
他は白紙だった。
それから、私は物語を書き続けた…。

 


第3層
それは地下鉄に乗り込み、その先で出会った召喚士と召喚獣と戦い
勝った者だけが生き残れる
確率は二分の一


地下鉄に乗るため、たくさんの人で溢れている。
たくさんの物語がそこにはきっとある筈だった。
隣で私の手を握る小さな手を握る手に少しだけ力を入れた。
なんとなく、予感はしていた。
握った手の温もりを感じ、大丈夫だ私が護るんだと
今度は絶対に護るんだと心に誓う


今度…?と頭に浮かんで、なんで今度はなんて思ったんだろうと疑問を感じる


あれ、私はIshに来る前は、ル・リエで船に乗る前は…?


「サイ?」


悩んでいると水子さんが私を見上げてきていた。


「どうかしましたか?」
「リオ」


知った人の名前が出て、顔を上げれば
そこにはリオさんがいた。
ドミニオンさんは少し離れたところで別の誰かと話しをしている。


私は、リオさんに話しかけた。
いつもみたいに他愛も無い話。
でも今回は…


「もしも、もしも私達が負けてもリオさん達は頑張ってくださいね。
そしていつか私達がいけなかった先の事を教えてください」
 

不安ばかりが溢れてくる。
よく聞こえなかったのか、リオさんは聞き返してきたけれど
私はもう一度その言葉を口にする事は無かった。


そして私達は電車に乗り込んだ。


私達は戦った。

相手は槍、私も槍
水子さんも頑張ってあの女の人と戦っている。


「水子さん…!」
「おい、お前の相手はこっちだろ!!」


闇色の光が水子さんに向かうのを見て、とっさにそれは危険だと感じた。
ダメだ、護らないと絶対に

ただ無我夢中だった。
波紋の間に走り込み、槍を使い全てを勢いで弾く
勢いだった所為で身体には思った以上の負担が掛かり、膝を地に着いてしまう
だが、男性からの攻撃も力を振り絞り槍を使い防ぐ


「水子さんは…絶対に守ります」


負けられない、負けてしまえば守れない
私は、守る為に戦う
怯んだ所を逃さず攻撃を仕掛け、ダメージを与える
それと同時に水子さんも女性に向け水の塊を飛ばし、攻撃をする
いける、勝てる なんて思った時だった。

 

ピシリッ


嫌な音が響いた

 

「なんだ?あの壺・・・ヒビ・・・?」
「!・・・水子さん・・・骨壷が・・・!!」
『しまった・・・』


ピシリ、ピシリと壺に入ったヒビが大きくなっていく


ダメ、割れないで!
駆け寄ろうとすれば、乾いた銃声が2発響いたと同時に
壺が割れ、ペンダントとベビーリングが形を変え、砂の上に落ちた。


間に、合わなかった………


急に魔力の供給が途絶え、経てなくなり膝をつくように崩れた。
消える身体を見つめながら、身体を動かそうとする
ダメ…消えないで……っ!
女性が何を言ったか聞こえなかった
ただ、ただ手を消えた私の大切な子とペンダントに向けて手を伸ばし………

 

 

手を伸ばした、届かなかった。


ハッと目を覚ませば、そこは見慣れた、でもとても久しぶりに見たル・リエの景色が広がっていた。
波に揺られる感覚にダメージで痛む身体を起こす。
そこは、私の船の上だった。
波はとても穏やかでそのうえに揺らり揺られていた。

負けた…

それだけを認識すると、涙があふれた。
涙なんて、流すのはとても久しぶりだった。

Ishが合ったと証明させない気か、いつも持ち歩いていた本と羽ペンが無かった。
でもそれ以上に大切なパートナーであり大切な子でもあった水子さんを失った辛さ
もう二度と、Ishに行くことができず、大切な友人に出会うことができない悲しさ。


子を失えば未来を失い
友人を失えば過去を失う
恋人を失えば現在を失う


もうそのページはないが、私が本を拾ったときに書かれていた一文
それが今になってその意味がとてもよくわかる。
痛いほどに分かる。


あぁ、私はまた失ったのだ


本を拾う前に身籠った子が死に
そして今も、私はまた子を守る事ができなかった。
私は、産みたかったのだ
私が物語を伝えるべき存在を…


自らの身体を抱えれば、カサリと乾いた音が聞こえ、服の中を探る。
そうすれば、そこにでてきたのは、
Ishにいた頃に書き、落とした物語の欠片
それを一枚一枚眺めれば、ますます涙が溢れそうになったが
突然吹いた強い風に船を煽られ、落ちそうになる身体を支える
それと同時に物語の欠片が風に飛ばされ、宙を舞う
取り返そうと手を伸ばそうとしたが、止めた。
今、あの欠片を綴じるための本を持っていない私は
それを拾う資格は無いのだから
だから、舞う物語の欠片を見て、私は叫んだ。

「伝えて!
 私とあの子は確かにあそこに存在したのだと伝えてください!!」

本を拾ってくれた誰かへ届く訳が無い声で願いを叫んだ
そして、いつか、物語の欠片を集めてくれる誰かにそれを願った。


Ishに行き、過ごしたあの日々を私は忘れない。
私たちは確かにそこに存在をしたのだと。
手を繋ぎ、一緒に歩き、一緒に学んだ。
それは確かな事で、それを伝えられるのは私だけ
だから、私は書き続ける。
あの本が無くとも、それでも書くことはできる。
いつか、また私が子供を産むことができるのならば
その時は、この物語をその子に引き継ごう
だから、私はその時まで書き続けたい

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