さよならバイバイまたいつか に参加中 灰谷十五 SS
時間軸:5月3日 結那ちゃん(イトマボクトさん宅)が消滅した時
5月3日 八木 結那 消滅
ピンク色の可愛らしい袋に入ったソレが落ちて、中に入っていた鈴がチリンと鳴った
頭の中に聞こえたアナウンスはもう聴こえていないが
それでも頭の中にはっきりと録音されたかのように残っていた
あの子が消えた…?
時々公園で会う姉妹の妹の方だとすぐに分かった
また子供が消えた…?
落としたソレは今日誕生日だった結那ちゃんへ渡す予定だった小さなプレゼント
俺は…
仕事が入ったという理由で渡せず、家は一度送って行った事があったから
せめてポストにでもと思っていた
俺は…一体何を…
周りを敵視して強がるあの子におめでとうの一言すら言えていない
だがそれは今は
「ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
関 係 な い
子供がまた1人消えたそれが現実
俺は参加者の筈なのにただぼんやりと日々を過ごして見過ごし
そして力を持ちながら誰の消滅時にも関与できず、護れなかった現実
それが今更になって痛く突き刺さる
手を開いて握って…それを繰り返す
無意識だったが、まるで自分の力を再確認するかのように
手にはピンク色の可愛らしいプレゼント
さっきそこのコンビニで買ったマジックでお世辞にも上手いとは言えない字で書かれた
「お誕生日おめでとう」という文字
目の前には【八木】という表札の掛かった家とそのポスト
名前をいくら読んでも【結那】という名前は見つからなかったという事実が現実だと念押しをした。
ポストの中にプレゼントを入れると、コトンという音とチリンという音が重なった
宛名も差出人も書いていないが、彼女の姉ならきっと分かる筈だろう。
名乗る気も無く、姉の方を呼んで何を話したらいいのか分からず
ただその家への用事は済んだので去ることにした
手は無意識に開いて閉じて開いて閉じて………
死神に向かって叫んだ
「願いを変更する」
消滅した子供たちの未来を返せ
そしてこれから未来を待っている子供たちは
俺が護ろう
遅すぎると怒られそうだ
それでも決めたことだ
有り余るこの力を護る為に使うと始めて決めた夜の話………――
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